田中武さんに初めて出逢ったのはいつのことであったろう。正確には思い出せないが、氏は私の中では不思議と最初から版画家だった。今さらながらにその画歴をたどってみると、あの当時はまだ「版画家」ではなかったのかもしれない。だが、少なくとも私の中のタナカタケシは、その作品に初めて会ったその瞬間から、時として一見稚拙にも見えるあの無作為で天衣無縫な造形感覚に触れてからは、いわゆる紙一重的雰囲気を持つ、天才「版画家」であった。そして、今もあり続けている。
寡作であることは伝記作者にとっては歓迎すべきことであろうが、ファンにとってはじれったい話だ。私は氏の一ファンとして、そのお尻を叩くつもりでこの美術館を開設した。この美術館を訪れた一人でも多くの方が、タナカタケシの魅力に触れ、私とともに氏のお尻を叩く側になっていただければ、幸いこれにすぐることはない。
田中武Web美術館 館長
藤 野 滋
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